はたらく魔王さま1期みたいに監督と制作陣のレベルの高さが伺える素晴らしい作品でした。
モデル視聴者の目線をそのままたきなに任せる手法は素晴らしかったです。
たきな自身も程ほど超人ですが、物語の邪魔にならない感じの程よい超人具合でテンポが良かったです。
物語は大体が千束 のキャラ設定の掘り下げだったような気がします。
千束は才能にあふれて天真爛漫で他人思い、仲間だけでなく敵も大切に守る、どんな暗くて張り詰めた場面でも千束が居れば安心、という聖母のようなキャラでした。
たきながDAで失敗したという暗い過去を千束が払しょくしてたきなが千束を大事に思い、千束が心臓の欠陥で死ぬという暗い話をたきなが払しょくしようと奮闘する、というキャラの明暗関係が話の緊張の持たせ方的に良かったです。
12話のたきなは最高でした。千束が助かって欲しいという視聴者の思いを、あの冷淡キャラのたきながそのまま情熱的に代弁している構造が凄まじかったです。「その心臓私が引きずり出してやる」「心臓が逃げる」という台詞回しが神がかってます。こういうの書けたらライター冥利に付きそうで、ライターが羨ましいです。
私は千束には生きていて欲しかったのですが、ああこれライター的には千束殺した方がオチ付きやすいだろうな、と半ば諦めていました。
最終回見て思いました。もし実際に千束殺してたら作中の大半を占める千束大好き勢キャラの話の収拾が付かなかったでしょう。千束生かしたのは良い落としどころだったと思います。
正直ミカが一番可哀そうでした。
最愛の人(シンジ)が急に失踪して10年くらい恋焦がれ、その最愛の人と再会したと思ったら敵だと判明して、自分の娘(千束)の命のためにその最愛の人を涙ながらに殺さなければならないという。
一人だけ物語が大人びていて凄い渋いんですけれど。鬼平犯科帳してるんですけれど。
話のオチについてなのですが、個人的にはもう一つ欲しかったです。
『リコリス・リコイル』を千束の物語として捉えた場合、千束のキャラは『ハウルの動く城』のソフィーに似ています。
『ハウルの動く城』では一般人の主人公のソフィーの強かな愛情が身勝手な男性のハウルを変えて疑似家族を作り、ひいては戦争を終わらせてしまいました。ソフィーはハウルを変えようとも疑似家族を作ろうとも戦争を終わらせようとも考えてません。ソフィーの愛情が波及して結果的にそういう良い影響が出たという話になっています。
『リコリス・リコイル』では千束にかかわるキャラは大体が千束大好き人間化するのですが、まだ予想外な波及というわけではありません。
できたら最終回には千束の聖母っぷりによる意外な波及をほんの1カットでもいいので入れて欲しかったです。
最終回を見てもアラン機関の内容が掴めませんでした。次回作か何かで掘り下げていただきたいです。
『リコリス・リコイル』良かったです。
A-1Picturesは私は『アニマス』『WORKING!!』『冴えない彼女の育てかた』『俺の妹がこんなに可愛いわけがない。』と見ました。どれもハイクオリティで素晴らしかったのですが、『リコリス・リコイル』は特にクオリティが高くて最高でした。監督とシナリオライターと作監と声優が良い意味でやりたい放題やってる感じが良かったです。
ぜひまた『リコリス・リコイル』の続きか同監督のアニオリを見てみたいです。