ウェブ家の備忘録

ウェブデザイナーの備忘録

技術者を大切にすべき

 要は『学問のすすめ』みたいなことを思ったというお話です。

 社会ではほぼ皆が自分独りで稼ぐことはできず、誰かの技術や実績に尻を置いて更なる実績を積んで稼いでいます。
 立場が高かろうと低かろうと関係なく、社会に生きている人は何かしろ今生きられるだけの必然的な理由となる実績があるのでその在り方に敬意を払って接しなければならないと私は社会に出て身をもって教わりました。自分の譲歩できる限りは人の実績を尊重して生きてきたつもりです。

 実績を出す人間は大体三通りあるのではないかと思っています。
1.複雑な社内政治を攻略するために他人の感情の機微を読んで立ち回って実績を持つ人。
2.技能のある人材をかき集めて実績を出し、自分ができる人間だと思って声が大きくなる人。
3.人間関係に関心なくただ技能を突き詰めて高度な技能の実績を量産するいわゆる技術者と呼ばれる人。一見して日常生活の基礎ができてない人や変な趣味の変な人に見られるので存在を軽視されやすい。
 大体この3種類のどれかに偏っているのではないかと思います。

 複雑な社内政治を要するほどの大きな企業に育つには技能を突き詰める人の上に尻を置かなければできません。
 また、人材をかき集めて実績を出すのも技能を突き詰める人の上に尻を置く行為です。
 全ての実績はその根幹に技能を突き詰める人がおり、その存在が非常に分かり辛く隠ぺいされています。

 愛媛の田舎で育った私は齢20歳で大都会東京に出て沢山の煌びやかなものを肌身に感じました。
 TVで観たことある場所へ凄いスピードで行かせてくれる西部池袋線の電車、緻密に並んだ建物がそびえ立って美しい小町、知的興奮が収まらない本のジャングルの池袋ジュンク堂、めちゃくちゃ美味しい外食店『やすべえ』『ラーメン二郎 ひばりヶ丘店』『新宿さぼてん 大崎店』、
 東京の煌びやかなものの根幹には私の理解では推し量れない多大に突き詰めて崇高の域に達した技術があり、お金を払うに値する素晴らしいものだと確かに感じ、畏敬を覚えました。
 もしその実績を作り出した技術者が目の前にいたら、当然私はその人に畏敬を払います。

 はっきり言って技術者は基本的に普通の人間関係がド下手なので非常に軽視されやすく、また人格がきちんとできてない場合もあります。人間関係が下手だからこそコミュニケーションをする代わりに技能の沼にはまって実績でコミュニケーションを図ろうとするところがあります。
 技術者と呼ばれる人と接する際には、その技術者の実績の背景にある苦労を察して褒めるべきです。その技能でよかったんだよ、その技能で生きられるんだよと教えれば、ああこれで良いんだとその技能の類の次の新しい実績を量産してひいては社会の実績の質が向上すると思います。

 人当たりがよくて耳障りの良いことばかりを言うような人、いわゆる他者に好印象を持たれていいように人を操れることに快感を覚えるというセンスを持った人に対してばかり目が行って褒めがちな世の中ですが、褒めても社会の根源的質が向上する実績を生んでくれるわけではなく、
 むしろ技術的なことばかり言うとっつき辛い人格の技術者こそが社会の質の向上のために褒めるべき相手なのだと思います。